お墓お役立ちコラム

墓じまいの手続きの流れ5つのステップを詳しく紹介

2019.10.4
墓じまい

跡継ぎが見つからない、遠方に引っ越すので墓の管理ができなくなるという方は、墓じまいの手続きを行う必要があります。しかし、墓じまいはどのような手順で行えばよいのかわからない方も多いでしょう。

そこで、今回の記事では、石川県金沢市で霊園を営む私たち「ふれあいパーク霊園」が、墓じまいの手順、手続きを行う際に必要な書類、費用の目安についてわかりやすく説明します。

墓じまいの手続きの流れ

墓じまいの手続きは、利用している寺院や霊園によって多少異なる場合もありますが、大まかに以下の5つの手順に沿って行われます。

1.改葬先を探す

まず最初に行うべきことは、改葬先の霊園、寺院を探すことです。改葬先では、遺骨を受け入れてもらうための手続きを行います。具体的には、「受入証明書」や「永代使用許可書」の発行を行います。

また、この改葬手続きを行う者と、墓の使用者が異なる場合は、これらの書類のほかに、「埋葬許諾書」も発行しなければなりません。

2.埋葬証明書を申請

墓の移転先での手続きが完了したら、今度は現在利用しているお墓で手続きを行います。具体的には、「埋葬証明書」の発行を行います。

また、改葬元の手続きでも、申請者と墓の使用者が異なる場合は、別途「改葬承諾書」が必要となります。

3.改葬許可証の取得

改葬元での手続きを終えたら、今度は現在墓地がある市町村の役場へ足を運び、改葬許可を申請します。

改葬許可の申請手続きでは、「改葬許可申請書」「受入証明書」「埋葬証明書」の3つの書類を役場に提出します。申請書類が受理されると、役場が「改葬許可書」を発行します。なお、改葬許可書は遺骨1つにつき1つ発行されます。つまり、複数人の遺骨がある場合は、人数分の改葬許可証を発行する必要があります。

4.遺骨を墓から取り出す

役場での手続きが完了したら、次に墓から遺骨を取り出し、お墓の引っ越し作業を行います。

遺骨の取り出し作業では、魂抜きという儀式が行われます。魂抜きとは、お墓に宿った魂を抜き取る作業のことを指します。この儀式を終えることで、石材店が墓石を解体できるようになります。

5.新たなお墓に納骨

最後に遺骨を改葬先のお墓へ運び、納骨します。納骨の作業のときは、遺骨を取り出す作業のときとは逆に魂入れの儀式を行います。

魂入れとは、文字とおり魂を新たなお墓に宿す儀式です。これにより、お墓に宿る魂も新たな墓に移動できます。

墓じまいに必要な書類

手続きの流れからわかるとおり、墓じまいではさまざまな書類が必要となります。ここでは、墓じまいに必要な書類の概要を一つひとつご紹介します。

受入証明書

受入証明書は、お墓の移転先から受入許可を得ていることを示す証明書です。移転先の霊園や寺院の管理者に申請することで受入証明書は発行できます。

受入証明書の申請書では、一般的に以下の項目を記入します。

  • 申請者の名前や住所、捺印
  • 埋葬されている方の名前、本籍地、住所
  • 移転元にあるお墓を管理する霊園・寺院の名前や住所
  • 申請書の発行日

埋葬証明書(納骨証明書)

埋葬証明書は、移転元の寺院や霊園が発行する書類のことを指し、納骨証明書といった名で呼ばれることもあります。移転元の寺院・霊園の管理者に申請することで発行できます。

埋蔵証明書には、以下の項目を記入します。

  • お墓の使用者の署名や捺印
  • 埋葬されている方の名前
  • 墓地を管理する方の捺印
  • 埋葬証明書の発行日

改葬許可証

改葬許可証は、墓じまい、改葬などを行う許可を得ていることを証明する証書であり、これがないと墓じまいの手続きが行えません。

改葬許可証の申請は役所で行います。市区町村によって申請方法が異なるので、手続きを行う際は、事前に役所の方に手続き方法について確認しておくとよいでしょう。

改葬許可証の申請書では、主に以下の項目を記入します。

  • 埋葬されている方の名前、本籍地、住所、死亡年月日など
  • 現在埋葬されている場所の住所や埋葬日
  • 改葬を行う理由
  • 墓の移転先の名前や住所
  • 申請者の名前や住所、捺印など

改葬承諾書

改葬承諾書は、今現在使用している墓地の使用者と申請者が異なる場合に必要となる書類です。この書類があることで、墓地の使用者の許可を得て改葬手続きを行っていることが証明できます。

改葬承諾書では、主に以下の項目を記入します。

  • 申請者の名前や住所と、墓地使用者との続柄
  • お墓の移転先の名前と住所
  • 墓地使用者の名前や住所、捺印など
  • 墓地使用者が改葬を許諾している事を示す一文
  • 改葬承諾書の発行日

墓じまいにかかる費用

墓じまいにかかる費用は、安くても30万円、場合によっては何百万円もの費用がかかることがあります。

以下では、具体的にかかる費用とその詳細についてご紹介します。

お布施

墓を別の場所に移動させる際には、供養を行う必要があるので、お礼として寺院にお布施を支払うことになります。お布施の費用の相場は、法典1回分とされているので、5〜20万円程度と見積もっておくとよいです。

離壇料

離壇料(りだんりょう)とは、今までお世話になった寺院に感謝の気持ちを込めて支払うお金のことを指します。最近では、お布施の代わりに離壇料という名で寺院にお金を納めるケースも多いです。

離壇料の相場は、法典1〜3回分とされているので、5〜30万程度はかかると考えておきましょう。ただし、付き合いの長いお寺や、格式の高い寺院では、それ以上の額となることもあります。

離壇料は、感謝の気持ちとして支払うお金なので、提示された額を必ず支払う必要がある訳ではありません。金額に不服があるようならば、寺院の方と相談をし、双方が納得のいく着地点を探ってみるとよいでしょう。

離壇料は金額設定が曖昧で、法外な料金を請求される場合もないとはいえません。そのような場合は、弁護士などの第3者を交えて交渉することをおすすめします。また、その寺院の宗派の総本山に掛け合ってみるのもよい対処法です。

墓の撤去にかかる費用

墓の撤去にもお金がかかります。撤去費用には、区画整理費用、墓石の処分にかかる費用、遺骨の取り出しにかかる費用、墓石の運搬にかかる費用といったものがあり、すべてを合計すると、20万円〜100万円程度となります。

墓石の処分と区画整理にかかる費用は、1平方メートル当たり10万円程度です。なお、お墓の立地や地域によって価格が大きく変動することがあるので、注意が必要です。

遺骨の取り出しにかかる費用は1〜5万円程度。墓石運搬にかかる費用は、墓石サイズは運搬距離によっても変わりますが、10〜100万円程度はかかるでしょう。

これより、墓の撤去費用は、安くて20万円、高いと100万円以上かかることがわかります。

書類作成費用

上述の各種書類を発行するには、数百円の手数料がかかります。また、遠方にお住まいの方の場合、交通費がかさむ可能性があります。

納骨費用

移転先の寺院・霊園への遺骨の納品作業は、遺骨ひとつ当たり1〜5万円程度かかると見積もっておきましょう。

墓石の購入・加工

移転を機に墓石を買い替える場合は、墓石費用がかかります。墓石の値段は石の種類や大きさなどにより変動しますが、50〜300万円はかかると覚悟しておきましょう。

また、墓石を購入しない場合でも、移転先の敷地に合うよう墓石を加工する必要がある場合があります。墓石の加工も内容により費用が大きく変動しますが、50〜100万円程度はかかります。

管理費

墓の管理費は、寺院や霊園によって異なりますが、年間1〜20万円程度と見積もっておくとよいでしょう。

永代使用量

お墓を新たな寺院や霊園に移転すると、永代使用料として50〜200万円程度を支払う必要があります。

墓じまいをするうえでの注意点

最後に墓じまいをするうえで注意して欲しいポイントについて解説します。

親族や家族の同意を得る

墓じまいの手続きを独断で勝手に進めると、後々に親族間のトラブルに発展しかねません。墓じまいを行う際は、必ず家族や親戚の同意を得た上で行いましょう。

お金の負担についても相談する

お墓の管理費用は、一般的にお墓の管理を請け負っている人がするものです。しかし、ひとりですべての費用をまかなうのは難しい場合もあるでしょう。

その場合は、家族や親戚で話し合い、支払いを分担できないか相談してみるとよいです。お墓は親族みんなで守るべきものなので、ひとりですべてを抱え込まないようにしてください。

なお、お墓の所有者はひとりとなるので、支払いを分担する場合は、その辺りについても話し合うべきでしょう。

改葬元の霊園・寺院にまずは相談

自分勝手に改葬手続きを行うのはダメです。墓じまいを行う際は、初めに今契約している霊園・寺院に改葬したい旨を伝え、承諾を得た上で改葬手続きを行いましょう。

離壇料が高額な場合は第3者に相談

離壇料は感謝の気持ちを込めて支払うお金のため、明確に額が決まっていません。そのため、法外な費用を請求されてしまう事はあります。

その場合は、弁護士などの第3者を交えて話を進めるようにしましょう。

墓じまいは注意点も覚えておく

墓じまいは、墓の管理に困っている人にとっては適した方法です。ですが、実際に墓じまいをするのであれば、親族や家族の同意を得るのはもちろん、改葬元の霊園・寺院に相談する必要があります。

まずは、自分が墓じまいをしたいかどうかを再度確認して、その後相談してみましょう。

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